白いノート

this and that

風をあつめて

大人の習い事ととして、月に2回ボーカルレッスンに通っている。今日はその日。

入会時に「プロを目指しているんですか?」なんて聞かれたけど、ただの娯楽。いつか見た番組『関ジャム』で、単純に、声を出すのがスッキリして楽しそうと思っただけ。

通っている教室は、コロナ前はもちろん対面、同じ部屋に生徒と講師が入ってレッスンを進める形だったそう。今は、生徒の先生が別の部屋に入り、互いに目の前のカメラに向かって歌ったり指示を出したりする。こちらはスピーカーに囲まれて、マイクに向かって声を出すので、さながらレコーディング中、なんちゃってTHE FIRST TAKE。...というのは形だけで、先生からしてみればジャイアンみたいな私に付き合うので、滑稽かもしれない。笑

しかし、この隣の部屋との”オンライン授業”は、結構やりやすい。同じ空間にいると若干の気まずさ?とか、言いにくさとかが生まれるだろうけど、一つデジタルを挟むと、画面ごしの顔もまじまじと見ることもできるし、見られることも気にならない。心理的ハードルを下げることにも役立っているのかな。

今の歌ははっぴいえんどの『風をあつめて』。作詞:松本隆、作曲:細野晴臣。レジェンド!

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好きな歌の楽譜を持ってくれば、先生がその場でピアノで伴奏を弾いてくれる。YouTubeなどの音源を耳コピして、同じように歌うスタイル。

視覚的にタイミングがわかるカラオケと違って、伴奏を聴いて歌詞をはめていくので、結構難しく感じる。その分、「同じ歌詞でも2番だけ、ここ伸ばしてる」とか、「この入り、意外にタイミング掴みにくい」とか、小さなことに気づいて楽しい。音楽理論は全然わからないけど、作曲って奥深いことなんだろうなぁ。

歌ってみた『風をあつめて』、歌詞の意味がわかりそうでわからない。

季節は多分夏。海の近く、なんとなく湘南。1番はいいとして、2番の「緋色の帆を掲げた都市」ってなんなんだろう?

とても素敵な
昧爽どきを 通り抜けてたら
伽籃とした
防波堤ごしに
緋色の帆を掲げた都市が

碇泊してるのが 見えたんです

3番はさらに抽象的。「衣擦れ」の想像がつかないけれど、なんだか暖かな光が差し込んでいるような。

人気のない
朝の珈琲屋で
暇をつぶしてたら
ひび割れた
玻璃ごしに
摩天楼の衣擦れが
舗道をひたすのを見たんです

意味を考えるのは無意味なのかもしれないけど。聞き手に委ねているんだろうな。

この世界観を出すために、先生からは「ダルくやってみよう!」と提案され、ポケットに手を入れて歌ってみたけれど、逆にソワソワした。笑 タンバリンを太ももで叩くくらいがいいかもしれない。

好きな歌を、誰に聞かせるわけでもなく、好きに歌えるささやかな幸せ。