この日も部屋の整理。そうしたら、引き出しの中から母子手帳が見つかった。
昭和63年11月。母がこの手帳をもらった時のことだろうか。
1ページ目に「この欄は手帳を受け取ったらすぐに自分で書き入れてください」と書いてあるためか、手帳には母の文字で細かく書き込んである。
「この保護者:母(妊婦)、父」。
年齢を見ると母は38歳。今でこそ珍しくなくなったが、当時はかなり高齢の初産だっただろう。当時、母は銀行に勤めていて、電車で片道70分かけて通い、一日約8時間勤務していた。
8ページ目の「妊婦自身の記録」蘭に、最終月経日。この妊婦の初診日。胎動を感じた日。おおよそ2ヶ月ごとに変化があったようだ。その時、母はどんなことを感じたんだろう。
その後、少なくとも14回検診をしたようだ。体重も徐々に増えていったことがわかる。が、途中「体重に注意」なんて印も押されている。
そして、「出産の状態」のページに。妊娠40週、私は私の誕生日の午前1時47分に生まれた。4140グラムの大きい女の子。分娩所用時間に38のような文字が書かれているのだけど、38時間もかかったということなんだろうか?
その後は「保護者の記録」。
【1か月頃】
お乳をよく飲みますか。はい
裸にすると手足をバタバタしますか。はい
親の目をときどき見つめますか。はい
【2か月頃】
首がすわっていますか。いいえ
あやすと笑いますか。はい
見えない方向から声をかけると、そちらへ顔を向けますか。はい
【6~7か月頃】
初めての歯は、生えましたか。はい
最近、何か病気をしましたか。( かぜ )
....... 記録は【6歳の頃】まで続いた。体重19キロ、身長109センチまで成長したようで.....。
あれ、なんでか涙が溢れるや。
決して必需品ではないけれど、大事なものだからこそ、新生活に持っていこうと思った。
お母さん、いつも、今日までも、我儘ばかりだったけど、どうもありがとうございます。